母と子のつながりは?

 「ソロモンの指環」(K.ローレンツ著)には、生まれて間もないハイイロガンの雛は目の前を動き、鳴き声を出すものを自分の親だと思いこんでしまい、以後ついて歩くことは変わらないと述べられている。いわゆる刷り込み(imprinting)である。人間の世界でも、人生の早期に誰と絆を結ぶかが人間という存在にとって大きな意味を持つことになる。

 働かなければならない母親が、祖母に生まれたばかりの我が子を預けてほとんど関わることができない‥‥そんなことが結構世の中にはある。代わりに子どもの養育を引き受けた祖母が“母”となる。母親は自分の生んだ子、血のつながりのある子と自分を納得させ、生活を支えるために働くこともあれば、仕事に生きがいを持ち、半分助かったという気分の女性もいるかもしれない。しかし、おばあちゃん“母”にどっぷりつかって育てられた子が、実の母親の元に戻るのは難しい

 子どもにとって、“本とうの母”はおばあちゃん。実母は、母親であっても“母”ではない。子どもの心にピッタリくる安心感、安全感は、おばあちゃんとの関係の中にあり、実母との間には、なにがしかの距離を感じることが多い。しかし、いずれおばあちゃんは先に逝く。残された実母と子どもは、新たに“本とうの母と子”としてどう絆を結びなおすのだろうか?‥‥大きな課題が残る。


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