2020.11.15 12:09母と子のつながりは? 「ソロモンの指環」(K.ローレンツ著)には、生まれて間もないハイイロガンの雛は目の前を動き、鳴き声を出すものを自分の親だと思いこんでしまい、以後ついて歩くことは変わらないと述べられている。いわゆる刷り込み(imprinting)である。人間の世界でも、人生の早期に誰と絆を結ぶかが人間という存在にとって大きな意味を持つことになる。 働かなければならない母親が...
2019.08.30 11:06過去は変わらないが…… 人生、何十年も生きてくれば、人に話せない失敗や悔恨はあるものです。「そんな過去は見ない、忘れるようにしてきた。」と。でも、ひょっとしたことで、思い出したくもない記憶が蘇えってきます。慌てて打ち消したり顔を背けたり。そして、時が解決してくれる…と。それで済めばいいのですが、中には、いつまでも古傷のように鈍痛がおそってきます。 そんな時、全く利害関係のない...
2019.05.29 06:11私の子ども時代 親は我が子の成長を行動や言葉で判断し、どんなことを感じ、体験しているかには関心が薄いものです。そんな子どもの内面を想像するには、自分の中に生き生きとした子どもの心が必要です。それを取り戻すため、子ども時代の思い出を話してみましょう。例えば、私の子ども時代は、……。 私の育った東京品川区と目黒区の境目は、近くに広大な農・林業の試験場...
2019.05.29 04:08問われる共感 先日、ネットで見たコラム。倦怠期の夫婦がうまくやっていくために、夫は妻との脳機能の違いを理解します。そして、会話術の”オウム返し”を使って、受容的に「共感」をもって「聞いているふり」をすれば、日々の関係をストレスなく過ごせると言います。 妻が“オウム返し”に満足するのは、夫に日々の生活レベルでのストレス解消を求めているからでしょうか。「聞いているふり」...
2019.04.30 02:21抱えるとは 先日、世界最小268gで誕生した赤ちゃんが無事、退院する明るいニュースが報じられました。お母さんが必死の思いで胎内に抱えてきた思いが語られ、心温まる思いでした。母は、まだ見ぬ我が子を10か月胎内に抱えます。超音波で顔形、性別まで分かる時代ですが、どんな泣き声かミルクはしっかり飲むかなどその実像は分かりません。その未だ対面できない我が子を慈しみの眼差しで“抱...
2019.02.24 02:123人は難しい! ある女の子(小学校低学年)の疑問。「私は友だちが2人います。どちらとも仲よくしたいです。どうすればいいですか?」と。もう少し詳しく聞いてみると、それぞれとは仲よくやれても、3人一緒になるとどうもうまくいかないと言います。 3人の関係は、大人の世界ばかりでなく、女の子同士でも難しいものです。3という奇数は、2人(ペア)と1人に分かれてしまいがち。いつも余り1...
2019.02.04 14:20我が子から「よるな!」,「ほっといて!」と言われたら 小学校も高学年になると、注意をしても素直に聞こうとしないものです。煙たがり、見ただけでもいやな目つきをします。中には、「見るな」、「よるな」、「ほっといて!」と言われてしまいます。「あの小さかったころの素直さはどこに行ったの?」と言いたくもなります。でも、別の場面では、「何とかして!」と助けを求めたり甘えてきたりと混乱した様子も見...
2019.01.10 10:16外国人の子弟と日本の学校 外国で教育を受けた帰国子女が日本の学校に適応するには、それなりの辛さを伴います。一方、外国人の子弟が来日し、日本の学校に入ると、さらに大きな困難を伴うと思われます。特に、生活習慣や価値観の違いが顕著なイスラム圏の子には、苦しい場面が予想されます。 日常の生活用語は、学校生活や友達と遊ぶ中で習得していきます。しかし、ラマダンのような宗教行事では、...
2018.12.27 08:30帰国子女と日本の学校 外国で教育を受け、帰国した日本人の子弟を「帰国子女」と言います。外国語を流暢に使い、異文化の雰囲気を漂わす立ち振る舞いは、華やかさと羨望の的です。しかし、彼らが日本の学校に適応するのは、想像以上にしんどいようです。開放的で自主選択の幅の広い欧米の学校で学んだ子どもは、閉鎖的で画一的な日本の学校生活は息苦しく、大きなギャップに戸惑いがちです。 その辛さから教...
2018.12.21 13:35嫁姑問題がもたらすものは? 「渡鬼」という略語で通るほど、お茶の間を一世風靡した『渡る世間は鬼ばかり』。そのドラマの中で、姑役の名演技で心に残るのが赤木春恵さん。その彼女が、最近亡くなりました。歯に衣着せぬ物言いで、自分の感情をストレートにぶつけると、か弱い嫁の泉ピン子は、稼業の中華料理店を懸命に支え、岡倉家の一員として生きようとします。 &nb...
2018.11.08 07:53不登校に思う 今まで、100組を超える不登校に悩む子どもとその親に会ってきました。私が出会うのは、学校に行きにくくなり、しばらく親子で葛藤を繰り返し、傷つきをもっている場合がほとんどです。先生も親も子どもに登校を促しますが、スッキリ解決に至らず、1年、2年と遷延化する例も珍しくありません。その様相は、学校に行けないという状態を除けば、千差万別で...
2018.05.30 07:46母を思う(5) 母の入院から4日、Drに今後の見込みについて聞くと、「施設に戻るのは難しいだろう。次の病院を……。」と。そうなると後3週間で、転院しなければならない。すぐどの病院がいいのか探さねば…。すると、2日後、Drから呼び出される。母の容態が急変し、「心不全に下血がある。いつ何があっても不思議ではない。」と言う。そんなこと、まだまだ先の先と...