嫁姑問題がもたらすものは?
「渡鬼」という略語で通るほど、お茶の間を一世風靡した『渡る世間は鬼ばかり』。そのドラマの中で、姑役の名演技で心に残るのが赤木春恵さん。その彼女が、最近亡くなりました。歯に衣着せぬ物言いで、自分の感情をストレートにぶつけると、か弱い嫁の泉ピン子は、稼業の中華料理店を懸命に支え、岡倉家の一員として生きようとします。
嫁姑問題が同居の場合、況や家業を共にする時は、互いの距離が近く、自分と相手の考えや感覚の違いをそのまま認めることが難しくなりがちです。そのため離婚や別居などの破綻的な方向に動くこともしばしば見受けられます。また、姑と嫁の性格の組み合わせも、千差万別。感情的な姑に気の弱い、従順な嫁もいますが、気が強いもの同士でバトルになり、決裂することもあります。旦那は息子と夫の立場の間を右往左往しています。
このような息苦しい家庭の雰囲気を吸い、自信や安心感の持てない子どもが不適応を起こし、不登校になることがあります。嫁姑問題は、当人同士の問題ですが、家族や親類縁者にまで影響を与えます。当事者たちもそれを望んでいるわけではありませんが、かみ合わないコミュニケーションは、反目、不信を生み、それが増大するとがんじがらめになってしまいます。互いにこのままではいけないと思ってはいても、相手にかける一声が出ません。そんなまま時間は過ぎ、何年もたっていきます。 それが子どもの不適応(不登校)の要因であることに賢い母は気づいています。そして、「自分が変われば…」とカウンセラーとの話し合いが始まります。不安でドキドキの中、姑とのぎこちない関わりが始まります。途中、萎えそうになる心、一歩を踏み出そうとして出せない不安や苦しみのやり取りが続きます。やがて、姑のほうも同じように、歩み寄りたいと思っていることに気付きます。こういう変化は、不思議なもの。家庭内の空気が動き始め、不登校だった子どもが動き始めます。一歩も入れなかった学校の敷地に入り、やがて、担任の絶妙なサポートもあって、子どもは学校復帰を果たします。その後、紆余曲折はあっても、元気に登校するようになります。また、それ以上に嫁姑の間に生まれたコミュニケーションは、互いに安心・安全感をもたらし、家族全員の表情をも一変させる力があることに驚かされます。
0コメント